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海の極小プラスチック繊維について私たちが知っていること

パタゴニア  /  2016年7月14日  /  読み終えるまで8分  /  フットプリント

マイクロファイバーの顕微鏡写真。写真:カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ブレン環境科学・経営スクール

プラスチックの海洋環境への影響については、テキサス州規模の太平洋ゴミベルト、クルーズ船から排出されて海岸に流れ着くペットボトル、工場規模のトロール漁船が破棄した「幽霊」網と漁具など、多々報告されてきました。また今年はじめには海洋プラスチックについての新しいレポートが世界経済フォーラムにて発表され、プラスチック汚染の重要さを強調しています。それは「2050年には、海には魚よりプラスチックの方が多く存在するだろう」と報告し、その主な原因にはプラスチック包装を挙げています。CNNは「世界はプラスチックのゴミであふれている」と宣言しました。この研究ではプラスチックの包装原料の95%がたった一度使われただけで経済活動から失われ、そのコストは800億〜1,200億ドルにのぼると報告しています。そしてこのプラスチックの相当量は環境に残置され、経済だけでなく惑星の健康により大きな被害を及ぼしています。

包装はこの問題の最大の要素ではありますが、プラスチック汚染の唯一の原因ではありません。最近焦点が当てられているのは、化粧品や歯磨き粉やその他の消費者製品に入っている、汚水処理工場でフィルターされるには小さ過ぎるマイクロプラスチック・ビーズという極小のプラスチック粒子の禁止、または使用停止の提唱です。これらは私たちの洗面台やシャワーから出て処理工場を通過し、海に流出して、ウミガメ、海鳥、そして魚(そしてひいては人間)の体内に入り込みます。

マイクロプラスチック汚染には化繊の衣類のマイクロファイバー(長さ5ミリ以下)も含まれます。それはポリエステルのフリースやナイロン製ショーツ、その他広範囲に及ぶ種類の衣類を洗濯する際に抜け落ち、処理工場のろ過システムを通過してしまうものです。これら化繊のマイクロファイバーは海、海岸、川、湖などに放出されてしまうことがあり、その一部は土壌にも至ります。処理工場で廃液からうまく分離されたマイクロファイバーも、土壌肥料として使われるスラッジに残っているからです。これは製造する衣類の多くが化学繊維製のものである私たちにとっては、ことに急所を突く問題です。

私たちが知っていること、知らないこと

私たちは一回の洗濯の際、化繊の衣類一着から何千もの化繊マイクロファイバーが抜け落ちていることを知っています。またマイクロプラスチック・ビーズに対して化繊のマイクロファイバーは一貫性のない形でより小さな生命体に脅威を及ぼしうること、そして食物連鎖に侵入し、人間の体にまで入り込む可能性があることを知っています。

私たちはまた、私たちが多くのフリースを売っていることもわかっています。他のアウトドアおよびアパレルブランド(そしてその他の産業)が作り、売るすべてのポリエステルとナイロン製品を組み合わせると、私たちが製造するものが重大な問題となるかもしれないことも理解しています。

しかしながら、海の化繊のマイクロファイバーについての一般の議論が高まっているなか、多くのことは未知です。たとえば生命体への危害の程度は分かっていませんし、化繊のマイクロファイバーの否定的影響が海のプラスチック汚染(あるいは気候変動などその他の差し迫る環境問題)という広範な問題にどう比較するのかについても理解していません。そして繊維の質あるいは洗濯技術などの潜在的に鍵となる変数が、家から海までのマイクロファイバーの進路にどう影響するかについても、つい最近学びはじめたばかりです。

海の極小プラスチック繊維について私たちが知っていること

20ミクロンのフィルターで撮影されたファイバーの画像。1ミクロン(またはマイクロメーター)は1メートルの100万分の1(1センチは1メートルの100分の1)に当たる。このファイバーはパタゴニアのジャケットを洗った洗濯機からの流水をろ過して捉えたもの。写真拡大率は千ミクロン。 Photo: Shreya Sonar(カリフォルニア大学サンタバーバラ校ブレン環境科学・経営スクール)

予備知識を得る

昨年、この問題への膨らむ懸念から、また産業を代表してその調査をしたいという願いから、パタゴニアはカリフォルニア大学サンタバーバラ校のブレン環境科学・経営スクールの著名な環境微生物学者パトリシア・ホルデン博士の指導のもと、研究プロジェクトを委託しました。その「マイクロファイバー汚染とアパレル産業」と題された研究が最近完了し、その結果はこちらでご覧いただけます。

2016年度のブレン・スクールの修士課程の学生であり、このプロジェクトに貢献した学生たち(ニコラス・ブルース、ニコ・ハートライン、ステファニー・カーバ、ベス・レフ、シュレヤ・ソナー)はホルデン博士の監督のもとで素晴らしい仕事をし、この問題についてのさらなる理解を援助してくれました。製造技術の影響および洗濯工程における異なる種類の洗剤の影響はテストされなかったものの、この研究は次の結果を提示しました。

  • パタゴニアおよびポリエステルとナイロン衣類のその他の製造業者は、海のマイクロファイバー汚染の重要な一因である可能性が高いが、その量およびそれが発見された生態系に及す危害は未知である。
  • ブランドと品質は重要問題である。この研究では、品質の低いノーブランドのフリースはパタゴニアの品質の高い製品に比べて、その寿命全体にわたり約170%多いマイクロファイバーが抜け落ちる。
  • 汚染の経路において重要な段階にあるのは洗濯機である。私たちはトップローダー式洗濯機で洗ったジャケットは、フロントローダーのそれと比較して7倍以上のマイクロファイバーを排出していることを学んだ。
  • 排水処理工場のフィルターは65%〜32%のマイクロファイバーをろ過しているが、それでも重大な量の廃棄物を環境に放出している。
  • マイクロファイバーの抜け落ちには衣類の構造が影響する可能性が高い。

今後の措置

パタゴニアは最近、助成金プログラムを通して資金提供してきた数団体を含む科学者、研究者、公共政策提言者のグループをベンチュラのパタゴニア本社に招集し、科学研究の現状について公開討論を開きました。基本的にはいま分かっていること、そしてより重要な、まだ分かっていないことについての討論でした。これは両面においてとても啓発的なものでした。

化繊のマイクロファイバーがどの程度海の生態系に害を与えるかについては、さらなる研究が必要です。この情報は、ひいては問題自体の理解だけではなく私たちが直面する緊急の環境問題という、より幅広い背景においてこの問題を評価するのに役立ちます。それでもなお、私たちはこの問題のおかげで当問題に対する私たちの責任について、初期の理解をすることができました。私たちは業界の他社をはじめ、他の業界の各社もこれを念入りに読んでいただくことを願っています。

この初期情報を手にし、パタゴニアは今後数か月間、鍵となる分野にていくつかの措置を取ります。

私たちはプラスチックを基盤とする経済で暮らしており、私たちがプラスチック原料を使用する多くの分野において環境に危害を与える廃棄物を生み出していることは明らかです。私たちは海、そしてその他における化繊マイクロファイバーの蔓延、影響、起源についてより知るようになっており、私たちが注目すべき問題であることは明白です。パタゴニアでは知識を深め、考えを寄せ集めること、そして私たちの産業が直面するであろう問題に付け焼刃の解決策を求めるのではなく、直接関与することが長期的に環境に恩恵をもたらす結果となると強く信じています。だからお客様にこの問題について包括的にご報告すべきであると切に感じました。今後の進展についても随時お知らせしていきます。

お客様にできること

  • これまでと同様、必要なもの以外は購入しないでください。私たちが作り、そして皆さまが消費するすべてのものが地球に否定的な影響を及します。
  • 高品質で丈夫な化繊の衣類を必要な際にご購入ください。
  • できるだけフリースの洗濯の回数を減らしてください。

海のプラスチック汚染というより大きな問題については、使い捨てのプラスチックへの依存を削減するために皆さまができることについての素晴らしいリストを〈ネイションスウェル〉が提供しています。ぜひご覧ください。

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